令和4年6月にマイクロチップの装着義務化という新しい制度が施行されました。
これから子犬・子猫をペットショップやブリーダーから迎え入れる場合はすでにマイクロチップが装着されています。
ご家族は、マイクロチップの登録内容をペットショップやブリーダーからご自身の情報へ変更手続きが必要になります。
また、すでに飼われている犬・猫のマイクロチップ装着は努力義務となり、装着するかどうかは飼い主に委ねられています。
犬の場合は狂犬病ワクチンと、マイクロチップの識別番号が紐づき、そのしくみはやや複雑化しています。
この記事では、マイクロチップ装着済の犬猫を迎え登録内容の変更が必要な方、これからマイクロチップ装着を検討している方に参考になります。
マイクロチップの装着義務化により、まずはなにをすべきか、確認していきましょう。
犬のマイクロチップ義務化により犬猫を迎えたら登録変更
マイクロチップの装着義務化により、これからペットショップやブリーダーから迎え入れる子犬・子猫にはマイクロチップの装着と識別番号の環境省への登録が済んでいます。
ペットショップやブリーダーが所有者として登録されていますから、新しく犬猫を迎え入れた飼い主は登録内容の変更手続きが必要になります。
各種手続き(新規登録、登録内容の変更、住所変更、死亡届)は、スマホで簡単にできます。
環境省や装着証明書、登録証明書など聞き慣れない単語がたくさん出てきますが、スマホ操作に慣れていれば十数分で完結します。
迎えた犬に、マイクロチップが入っているか入っていないかで、登録手続きは次のどちらかになります。
マイクロチップを装着している犬
- 令和4年6月以降にペットショップなどから飼った犬は「所有者の変更登録」をしましょう。
- 環境省に登録すると自動で市町村に情報が反映されます。
- 鑑札(プレート)は交付されません。
マイクロチップを装着していない犬(譲渡など)
- 動物病院や役所で登録申請の手続きが必要。鑑札が発行されます。
- 元の所有者が鑑札を持っている場合は受け取ります。
- マイクロチップを装着する場合は環境省への登録。自動で市町村に情報が反映されます。
子犬・子猫を迎えた時の登録変更の手順
マイクロチップが入っている犬猫を迎えたら、必ず販売元や所有者から登録証明書を受け取りましょう。
オンラインで手続きする場合は、登録証明書・クレジットカードかペイペイを用意します。
登録証明書に記載されているQRコードをスマホで読み込むか、記載されているURLにスマホやパソコンでアクセスします。
オンラインで手続きできない場合は、日本獣医師会に電話して申請用紙を取り寄せします。
この場合はコンビニや銀行振込での支払い方法となり、1,000円かかります(オンライン決済では300円)。
サイトに入りましたら、以下の手順で操作を行って下さい。
- 【犬や猫の飼い主の方】を選択
- 【所有者の変更登録】を選択
- 支払い方法と【登録証明書】の用意
- 【飼い主を変更する犬猫の照会】を選択
- マイクロチップ・暗証番号を入力して【犬猫情報の確認へ】
- 【個人情報保護方針の確認へ】を選択
- □にチェックを入れ【飼い主情報の入力へ】
- 飼い主や犬猫の必要事項を入力
- 登録証明書を受け取るメールアドレスの用意
- 受け取ったファイルを厳重管理する
詳しい手順を解説していきます。
犬や猫の飼い主の方を選択して進める
①事業主の方ではなく、一般の飼い主の方はこちらの【犬や猫の飼い主の方】を選択して手続きを進めます。
②次のページで【所有者の登録変更】を選択します。
このページでは、すでに飼育されている犬猫に、動物病院でマイクロチップ装着を行った場合の情報登録、住所変更や死亡届けの手続きも行えます。
登録証明書を紛失した際もこのページから再交付の手続き(200円)が行えます。
登録料やその他変更手続きをオンラインで行う場合は、支払い方法がクレジットカードかペイペイの2択になります。
オンラインでの手続きが難しい場合でも、親戚や動物病院のスタッフに聞いたりして、オンライン決済でどうにか手続きをされる方も多いです。
③あとは前の所有者から受け取った登録証明書を用意すれば手続きを進められます。
必ず前の所有者(ペットショップやブリーダー、前の飼い主)から登録証明書を受け取りましょう。
④書類や支払いの準備ができたら、ページ1番下の【飼い主を変更する犬猫の照会】を選択します。
⑤登録証明書に記載されている15桁のマイクロチップの番号、英数の混ざった10桁の暗証番号を入力して、【犬猫情報の確認へ】を選択します。
「犬猫情報の確認」が表示され、現在登録されている動物種・品種・毛色・生年月日・性別が表示されます。
⑥【個人情報保護方針の確認へ】を選択して次に進みます。
⑦「□確認しました」にチェックを入れ【飼い主情報の入力へ】を選択して進みます。
⑧住所や電話番号など、新しい飼い主の情報や犬猫の情報を入力します。
⑨登録証明書はメールにPDFファイルで送られるため、ファイルを受け取るメールアドレスの用意が必要です。
すべて入力し、支払いを完了するとメールに登録証明書のファイルが届き、手続き完了となります。
⑩登録証明書は犬猫を譲渡する際や、初めて狂犬病ワクチンを接種するときなど、マイクロチップ番号を確認する際にも使用します。
スマホに保存すると、必要な時にすぐに提示できて便利です。
- 所有者の住所変更や死亡届は、変更手数料がかかりません。
- 狂犬病予防接種証明の注射済票再交付はオンラインでは行えません。
犬でマイクロチップ装着済の場合は鑑札や役所の登録が不要に
以前は、犬を迎えたら30日以内に【犬の登録申請書】を提出し、住んでいる市町村に犬を登録、3,000円を支払い鑑札を発行しました。
ですが、先程の手順で環境省への登録が完了しているマイクロチップ装着済の犬は、自動で市町村に情報共有されるため、役所への手続きや3,000円の支払いやは鑑札は不要に。
マイクロチップが、今までの鑑札の番号の役目を果たします。
マイクロチップの番号が分かることで、狂犬病ワクチンの接種と接種後の役所への手続きが進められます。
犬のマイクロチップを努力義務で装着する手順
ペットショップやブリーダーから迎えた犬猫は義務によりすでにマイクロチップが装着されています。
ですが、すでに飼われている犬猫でマイクロチップを装着していない犬猫は努力義務となりました。
努力義務とは、果たさなくても違反にはならないけれど、行うよう努力しなければならないもの。
つまり、強制力はなく推奨されてはいるが、最終決定は本人の判断に委ねられています。
これからマイクロチップをご自身で装着する、もしくは制度が執行される前に任意でマイクロチップを装着していた犬はすでに、役所への登録と鑑札発行が済んでいますね。
その場合は、マイクロチップの番号を役所へ申し出たり、狂犬病ワクチン接種券を提出する際に提示すればマイクロチップ番号と狂犬病ワクチンの管理を紐付けることができます。
マイクロチップ番号が狂犬病ワクチン管理に紐付けられるため、自治体によっては鑑札の返却を求めることがあります。
地域によって、狂犬病ワクチンを接種する時に、動物病院や集合注射などの会場で返却の指示があるようです。
次に、努力義務でマイクロチップを装着する方の手続きの手順を解説していきます。
マイクロチップ努力義務での装着手順
私はこの手順で保護犬にマイクロチップを装着し、登録を行いました。
新しく成犬を迎えて登録する場合は、マイクロチップで登録した方が、鑑札を紛失するリスクや費用も大きくかかりません。
結局のところ、マイクロチップ装着手技代とマイクロチップ本体の料金は3,000円以上かかってしまうんですが…管理はしやすくなります。
装着するマイクロチップのメーカーによっても金額が前後しますので、詳しい金額は、装着する動物病院に問い合わせましょう。
- マイクロチップ装着対応できる動物病院を探す
- 装着後に発行される装着証明書を受け取る
- 環境省にアクセスし登録手続きを行う
猫が任意で装着する場合も手順は同じです。
マイクロチップを装着できる動物病院を探す
まずは、かかりつけの動物病院に電話などで、マイクロチップを装着できるかどうか確認しましょう。
いつでも装着できる動物病院と、マイクロチップが取り寄せのため、予約が必要な動物病院もあります。
装着証明書を必ず受け取る
装着が完了すると、マイクロチップ番号とマイクロチップのバーコード、動物の情報が記載された装着証明書が発行されます。
これは登録証明書ではありません。
あくまでマイクロチップを装着した、という証明であり、犬猫のマイクロチップ番号や飼い主情報は登録されていません。
登録は必ずご自身で行う手続きです。
バーコードの貼られた装着証明書がないと、登録証明書の発行ができなくなりますので、装着証明書は紛失しないように注意して下さい。
環境省にアクセスしてマイクロチップ番号を登録する
装着証明書に記載されているQRコードや環境省にアクセスして、登録証明書を発行します。
装着証明書の写真を撮影して添付するため、ここで装着証明書の現物が必要になります。
必要事項を入力し、オンラインであれば登録料300円(紙での申請は1,000円)を支払うと登録は完了です。
登録内容変更手続きと同じ様に、登録したメールアドレスにマイクロチップの登録証明書がPDFファイルで届きます。
よくある質問
気になるけどなかなか、獣医師に質問しにくい…といったこともありますね。
質問されることの多い内容を、マイクロチップの装着を悩まれている方のためにまとめました。
ぜひ、参考にされて下さい。
装着時は痛みはありますか?麻酔は必要ですか?
ワクチンの注射よりは針が太く痛いが、麻酔はまず不要。
マイクロチップ装着に使用する針は、針の中を直径2mmのマイクロチップが通過できる太さになっているため、ワクチンや注射薬を投薬する時よりは太い針を使います。
ですが、マイクロチップの装着で泣き叫んだりするような犬猫は今のところほとんど見受けられず、ワクチン接種と同様の反応。
いつもワクチン接種で泣き叫ぶような、痛みに弱い性格の犬猫は痛がる可能性があります。
獣医師に相談して、マイクロチップ装着部に局所麻酔をしてから装着する方法もあります。
ただ、局所麻酔も注射ですから、局所麻酔とマイクロチップで合計2回針を刺すことになります。
どちらがあなたの犬猫の性格に合っているかよく相談しましょう。
例えば、里親として迎えた犬猫に避妊・去勢手術や歯石取り処置の予定があるならその時がおすすめ。
麻酔をかけている間にマイクロチップを装着してもらえば痛みを感じさせません。
デメリットやアレルギーの心配はある?
MRI検査では画像がブレる。アレルギー反応の可能性はほぼ考えられない。
マイクロチップの中には金属が入っているため、MRI(磁気共鳴画像)では、影響がでます。
マイクロチップ周りの画像が歪みます。
もし、マイクロチップのある首周辺をMRI検査するとすれば、首の骨のヘルニア(頚椎ヘルニア)くらいです。
あまり多い症例ではありませんし、MRIを撮らない処置で症状が改善することもありますから、過剰にマイクロチップの影響を心配する必要はないでしょう。
また、マイクロチップは生体内に使用した際に、副作用や有害な影響を与えない優しい素材でできています。
異物として反応されにくい素材を使っているため、アレルギーが起こることはまれ中のまれです。
マイクロチップにGPS機能はあるか?
残念ながらGPS機能はありません。
マイクロチップを使って位置情報を確認することはできませんので、迷子になってもGPSで居場所を調べることはできません。
マイクロチップ番号の確認はどこでできる?
動物病院や保健所、動物愛護センターなど。
ちなみに確認できるのは識別番号のみです。
マイクロチップリーダーでマイクロチップを読み込んでも住所などの情報までは確認できません。
環境省のデータベースを照会することで飼い主を特定できます。
AIPOなど民間のマイクロチップ情報登録機関への登録は必要?
義務ではないので任意での登録になりますが、よりよいサービスを求めるなら登録した方が良い。
AIPOなどの民間マイクロチップ番号登録機関は、マイクロチップ装着義務化される前から存在していた日本獣医師会が運営する大きな機関です。
登録には1,050円と環境省の登録料より高めですが、登録内容の変更時の手数料はかかりません。
また、万が一迷子になってしまい、どこかで保護されマイクロチップが確認できても、環境省の登録だけでは情報照会できる範囲が限られているため、飼い主に連絡が来るまで日数を要することも。
そういった不都合な点を、民間のマイクロチップ番号登録機関はカバーでき早く飼い主と引き合わせることが可能です。
ただし、民間の登録機関への登録は任意になりますので強制でありません。
まとめ
- ペットショップやブリーダーから迎え入れた犬猫は、環境省のサイトで登録内容変更の手続きが必要。
- マイクロチップの番号で環境省への登録が済んでいる犬猫を受け渡す時は必ず登録証明書も受け渡す。
- 環境省での支払い方法は、ペイペイかクレジットカード払いがスムーズで安い。
- 登録証明書はPDFファイルとしてメールで届くため、メールアドレスの用意が必要。
- マイクロチップを装着していると犬の役所への登録や、鑑札の発行が不要になる。
- 努力義務によりすでに飼育されてる犬猫にマイクロチップを装着したい場合は、動物病院で装着が可能である。
- 努力義務でマイクロチップを装着した場合は、装着証明書を受け取り、登録証明書を発行する手続きが必要である。
動物病院のスタッフですら、新制度のしくみをよく理解するのに時間がかかりました。
登録内容の変更や、装着証明書からの登録作業が必要になりましたら、なるべく早めに手続きは行ってしまいましょう。
時間がたてば経つほどよく分からなくなりやすい部分です。
分からないことがありましたらコメント頂ければ返答します。
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