犬の膝蓋骨脱臼で手術しない場合にできるケア♪病気の解説も

犬の病気

犬の膝蓋骨脱臼しつがいこつだっきゅうは、いわゆる膝のお皿(=膝蓋骨)が内側、もしくは外側にずれることによって引き起こされ、痛みを伴う疾患です。

手術をしない限り、完治はしませんので、診断されてしまったら、上手に付き合っていく必要があります。

診断をされたからといって、必ず手術をしなければいけないという病気ではありません。

ですが、この先歩けなくなってしまう日が来るのか不安ですよね。

この記事では、膝蓋骨脱臼と診断された愛犬の、手術以外でしてあげられる対策やケアをたくさん紹介しています。

また、膝蓋骨脱臼という病気についても詳しく解説しており、この記事で犬の膝蓋骨脱臼のことがよく分かるようになっています。

ぜひ、参考にしてみて下さい。

この記事書いた人

動物看護師のもちです。
小さい頃から犬のいる暮らし♪
5頭目になる現在は
トイプードルを飼育中です♪

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犬の膝蓋骨脱臼は手術が必ずしも必要ではない

犬の膝蓋骨脱臼は獣医療関係者の間で通称【パテラ】と呼ばれ、手術が必要になることもある病気です。

本来はパテラは、膝蓋骨脱臼ではなく解剖学的に「膝蓋骨」のことを指しますが、膝蓋骨脱臼のことをパテラと呼んでいます。

パテラはトイプードルやポメラニアンなど小型犬に多く、トイプードルでは7頭に1頭と言われています。

ですが、軽度なパテラも含めると、実際にはもっと多くの頻度で遭遇します。

ですが、パテラだからといって必ずしも手術が必要になる病気ではありません。

サプリメントやサポーター、日頃のケアなどにより膝蓋骨脱臼や痛みの頻度を減らしたり、進行を遅らせたりすることができます。

まずは、犬の膝蓋骨脱臼という病気の基本的な知識と手術が検討される経緯を解説していきます。

膝蓋骨脱臼は初期の方が痛みの強い病気である

膝のお皿は、滑車かっしゃのような構造のくぼみ部分の上を上下に移動することで、スムーズに膝が屈曲できるようになっています。

膝蓋骨脱臼は、このくぼみに何らかの理由がくわわり、内側や外側に膝蓋骨が乗り越えてしまった時に起こります。

何らかの理由としては、生まれつきくぼみが浅かったり、膝蓋骨を支えている靭帯が緩んでいたなどが考えられます。

膝蓋骨がくぼみの外側に乗り越える時に、くぼみの壁とこすれることによって激しい痛みが起こってしまいます。

さらに、脱臼した状態で歩行することにより、普段と違う方向に関節をひねってしまうため、捻挫ねんざが起こります。

この脱臼を何度も繰り返すと、くぼみの壁は削れて低くなり、さらに外れやすくなってしまいます。

この膝蓋骨の外れやすさの程度を、獣医療では4段階の【グレード】に分けて評価しています。

  評価     状態
グレード1膝蓋骨は手で押すと外れるが、手を離すと正常に戻る
グレード2膝蓋骨は手で押すか膝を曲げると外れ、手で押すか膝を伸ばすと元に戻る
グレード3膝蓋骨はつねに外れていて、手で押せば戻るが、手を離すと脱臼する
グレード4膝蓋骨はつねに外れていて、手で押しても戻らない

何度も外れたことによりグレードが進むと、くぼみの壁はどんどんすり減って低くなり、膝蓋骨がくぼみの外側へ外れる時の摩擦が減って、痛みは軽くなっていきます。

一方で、脱臼する頻度が増えたために、捻挫の頻度は増え、捻挫の痛みが主体となってきます。

膝蓋骨がくぼみの壁と擦れる激痛と比べると、捻挫の痛みの方が弱い痛みになります。

違和感があり、膝を伸ばして脱臼を戻す犬もいます。

後ろ足をピーンと後方に伸ばしている時は、ズレを治している可能性があります。

痛いときに見せる症状は食欲不振など

犬はするどい痛みではキャン!と鳴くことがありますが、捻挫のようなにぶい痛みでは声を出して鳴くことはまずありません。

元気なくじっとしている、食欲がないといった症状として現れるため、足が原因だとは思わずに来院される方がほとんどです。

前者の鋭い痛みによる症状は、膝蓋骨が擦れて鋭い痛みが出る初期によく起こり、後者の鈍い痛みによる症状は、グレード2以降の捻挫で現れます。

足をかばう様に歩く跛行はこうといった様子が見られ、股関節の脱臼や骨折を心配される飼い主の方が多くいらっしゃいますが、股関節や骨折では、激痛で地面に足をつけることすらできませんから症状が一致しません。

進行の速度がゆっくりで、足を痛める頻度も低い場合は、痛いときに痛み止めを服用して様子を見ることがほとんどです。

パテラの進行具合は、若いうちにどんどん悪化してしまう犬もいれば、ゆっくり進行し高齢になっても軽度のまま生涯を過ごす犬もいます。

様子を見ずに、手術が勧められる時というのは、次のような進行をたどった場合です。

手術は進行の早さや年齢が考慮される

手術を検討するかどうかの基準は、進行の速さや年齢などが考慮されます。

2歳以下の若い犬で、どんどんグレードが進み激しい痛みを訴える頻度が高ければ手術を検討します。

この速度で進行すると、将来的に前十字靭帯を損傷したり、骨が変形する可能性があるためです。

また、シニア期に入る7歳を超えると、運動量が減り、筋肉が落ちてきて、リハビリに耐えられなくなってしまいます。

足をかばい筋肉量が落ちてしまう場合は、若くても早めに検討することが多くあり、筋肉量は深くかかわってきます。

筋肉量を維持するためにサプリメントを摂取するなど、お膝のためにできることは、いくつかあります。

犬の膝蓋骨脱臼はサプリメントなど日頃のケアが大切

犬は、環境や目的に適した体格をつくるために品種改良された結果、骨格に負担がかかってしまい、膝蓋骨脱臼などの症状として現れることがあります。

我が家の保護犬、トイプードル7歳も膝蓋骨脱臼のグレードが右足が3、左足が4の重症パテラ。

ティーカッププードルの繁殖引退犬のため、見るからに華奢きゃしゃな骨格をしています。

サプリメントの摂取や生活環境など、実際に、私達が日頃からお膝を守るために行っているケアを紹介します。

「手術が必要と言われたけれど、費用の関係でためらっている」、「高齢や持病を理由に手術を受けられない」、「手術は必要ないけれど、なにかできることをしてあげたい」、といった愛犬に、少しでもお膝への負担を減らしてあげられるケアです。

  • サプリメント(軟骨・筋肉系)を与える
  • サポーターを装着する
  • 体重管理をする
  • 足の裏の毛をカットする
  • フローリングにマットなどを敷く
  • ソファなどにスロープをつける
  • 激しい旋回運動せんかいうんどうを避ける

手術をせずに完治することはできませんので、上にまとめたケア方法は根本的解決にはなりません。

痛みがある時には我慢させ過ぎずに痛み止めを飲ませ、上手に付き合っていきましょう。

それでは、おすすめのサプリメントなど、ひとつずつ詳しく解説していきます。

パテラには筋肉維持や軟骨を保護するサプリメント

パテラにおすすめしたいのは、関節をサポートするサプリメントと、筋肉量を維持するサプリメント。

1度すり減ってしまった軟骨は再生しませんので、【コンドロイチンモエギイガイ】など関節を保護する成分の含まれたサプリメントは、初期の段階で摂取しはじめるのがおすすめです。

次に大切なのは筋肉の維持。

関節への負担を減らし、維持していくには、筋肉量をキープすることも大切です。

足をかばうと、筋力が低下し、手術が必要となった場合には、残された筋肉量が回復の早さに深く関わってきます。

こういったサプリメントを利用して、筋肉維持に努めることをおすすめします。

嗜好性の高いフレーバーでおいしく筋肉維持ができ、与える量は小型犬も大型犬も1日1個と分かりやすくなっています。

小型犬にはちょっと大きく、そのまま与えるとのどに詰まらせる可能性があるため、砕いて与える必要があります。

膝に負担をかけない程度の適度なお散歩でも、筋肉量を維持できるよう配慮しましょう。

サポーターを装着して膝への負担を減らす

サポーターで膝関節を支えることにより、膝を動かすことへの不安も和らぎ、歩きやすくなります。

オーダーメイドの場合は、獣医師による細かな計測が必要で、注文から完成まで1ヶ月前後かかります。

かかりつけの動物病院が取引のできる、オーダーメイドのサポーター制作会社のものしか選べません。

そのため、金額はまちまちですが、片足で2万円ほどはかかります。

既製品であれば、オーダーメイドのサポーターほど1頭1頭の骨格に細かくフィットはしませんが1万円程度で購入でき、注文から発送まで、かかっても1週間ほどで、比較的早く手元に届きます。

ネット通販で数千円で買えるサポーターも販売されていますが、簡易的な作りであったり、サイズ区分もざっくりとしていて合わなかったりなど、評価はいまいちなものがほとんどのようです。

肥満は膝に負担が!体重管理

膝の関節に負担をかけないよう、肥満の場合には適正体重へ管理しましょう。

過度なダイエットは関節の維持に必要な筋肉を落としてしまいます。

ゆっくりとしたお散歩や食事で調整しましょう。

関節に負担のかかるような、激しい運動による減量は厳禁です。

足の裏の毛は滑る原因に!こまめに手入れしましょう

足の裏の毛が伸びて、肉球を覆ってしまうと、フローリングなどで滑り膝を痛める原因に。

常に肉球が見えるよう、こまめに手入れしましょう。

ハサミでカットしようとすると、動いた時に肉球を傷つけやすく危険です。

ホームセンターなどでも売っているペット用の小さいバリカンを使うと、比較的安全に手入れができます。

ご自身での手入れが難しい場合にはトリミングや動物病院に依頼しましょう。

フローリングにマットなどを敷いて滑りにくくしよう

フローリングなどの滑りやすい床では、膝を痛めることがあるため、滑り止めの対策が大切です。

せっかくマットを敷いても、マット自体が滑ってズレやすいものではかえって関節を痛めます。

床に敷いたらズレない加工がしてあるものがおすすめ。

また、粗相などで汚すことがありますから、洗えるものが便利です。

フローリングに塗るだけで滑り止めになる、といった製品もありますが、マットよりは効果が落ちますので、使用する場合は、愛犬に合っているかよく様子をみてあげましょう。

ソファなど段差にはにスロープをつけてジャンプ防止に

ソファなどにスロープを設置することで、飛び乗りや飛び降りを予防し、関節への負担を減らせます。

段差の乗り降りに負担を感じている場合は積極的に使ってくれることが多いですが、症状が軽度なうちは、使ってくれないこともあります。

いくらスロープなどを用意して対策をしても、かまって欲しい時には、飼い主さんに2本足で立ってアピールしたり、ジャンプしたり。

このような行動は足腰に負担がかかってしまいますが、完全に防ぎ切るのは、なかなか難しいところです。

ドッグランなどでの激しい旋回運動は避けましょう

グイッと曲がるような動きをしたときが1番、膝のお皿が外れやすい動きです。

ドッグランに行った帰りに、歩き方が変…と来院される方がよくいらっしゃいます。

お友達とじゃれて走ったり、フリスビーを投げて追いかけさせるなどの遊びで、急に曲がるような旋回運動が起こりやすくなります。

愛犬の膝の状態をよく把握して、上手に付き合いながら運動をさせましょう。

まとめ

  • 犬の膝蓋骨脱臼はいわゆる膝のお皿が外れる病気である。
  • 初期段階では激しい痛みを伴い、進行すると、骨が歪んだり靭帯を傷つけてしまう。
  • 犬の膝蓋骨脱臼はグレードで進行の程度が評価されているが、グレードの高さと手術の必要性は関係ない。
  • 進行の早さや年齢、症状を考慮して手術の必要性は評価される。
  • 膝関節の保護だけてはなく、筋肉量の維持も、管理していく上で重要である。
  • サプリメントや足の毛のケア、住環境を整えることで膝への負担が減らせる。
  • 2本足で立ったり、ジャンプや急に曲がったりといった動きは、膝に負担がかかるため、なるべく避けた方がよい。

犬の膝蓋骨脱臼はさまざまな条件を考慮して、手術の必要性を決めていくため、日頃からのケアで膝への負担を減らし、進行させないことが重要です。

進行を予防するためにできることは、いくつかありますから、できることから始めて上手に付き合いましょう。

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